不動産契約から引き渡しまでの間に様々なことが行われます。不動産仲介業者に依頼していれば、売主や買主は殆ど待っているだけになりますが、どのようなことが行われているか気になりますよね。取引までの期間に当事者がするべきことなども含めてご説明致します。
【目次】
① 不動産契約から物件の引き渡しまでにやっておくこと
② 売却した不動産を引き渡す際の注意点
③ 残代金取引時にやり取りされる費用
④ まとめ
① 不動産契約から物件の引き渡しまでにやっておくこと
〇 登記済権利証の保存確認
買主側が指定する司法書士に、権利証と印鑑証明書、住民票などを確認してもらい、残代金取引時に買主に所有権移転ができるかを、事前に確認しておきましょう。
以下のようなことはよくあります。
・相続で取得した不動産を売却する際に、登記名義人が現相続人へ名義変更されていなかった
・複数の所有者で持っている不動産を売却する際に、保管していた権利証では不足していたなど、権利証の不備によって、売主側に追加の費用が発生した。
〇 建物残置物の撤去
一般的には、買主へ引渡す日までには家具や家電を撤去しなければなりません。
その他、売買契約の際に売主買主間で交した設備表に明記された「残置する設備」以外は撤去が必要です(この場合の費用は原則売主が負担)。
荷物の量が多い場合は専門業者への依頼が必要になります。概ね2~3日の作業期間で終了致しますが、場合によっては1週間程度の期間を要することもあります。あらかじめ依頼する業者や、準備期間を確認しておきましょう。
〇 保管資料の引き継ぎ
建物に関する管理規約や設備の取扱説明書、新築時の資料などが保管されているようであれば用意しておきましょう。
〇 火災保険の解約手続き
売主が火災保険に加入していた場合、売却に伴って所有権移転日(引き渡し日)までで火災保険を解約する手続きを忘れないようにしましょう。
〇 電気・水道・ガス等のライフライン解約手続き
売主が現時点で使用している電気・水道・ガスは引き渡し日の前日までに解約手続きをするようにしましょう。
② 売却した不動産を引き渡す際の注意点
1. 売却する不動産に抵当権(根抵当権)が設定されている場合
買主へ不動産の所有権移転をするためには、売主の住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する手続きが必要です。
残代金取引をする前に、売主は金融機関に対して一括返済の申し出を行ってください。
完済する金融機関によっては、完済申し出にともなって取得後3か月以内の売主の印鑑証明書や住民票が必要になる場合もあるため、確認しておきましょう。
また銀行用だけでなく、登記用に提出すべき印鑑証明書や住民票が必要な場合もあります。
不動産契約後すみやかに、必要合計通数を仲介会社に確認しておくようにしましょう。
2. 測量が必要な場合
不動産契約の条件によっては、売主費用での測量が必要な場合があります。
道路の官民境界を特定させることを目的とした確定測量は約2か月~3か月の期間、隣地との境界のみを特定する測量は約1か月~2か月程度の期間がかかる可能性があります。
買主の希望する測量が終わっていないと、残代金取引日を設定できないこともあります。
③ 残代金取引時にやり取りされる費用
〇 売主が買主から受領する金額
あらかじめ、起算日を定めて日割り精算しておきます。
※西日本では4月1日、東日本では1月1日を起算日とすることが多いです。
※毎月支払っている管理費や修繕積立金等を日割りで精算します。
〇 売主が支払う金銭
※売買価格×4%+2万円+消費税(売買金額が200万円超、400万円以下の場合)
※売買価格×3%+6万円+消費税(売買金額が400万円超の場合)
・登記費用
※抵当権の抹消が必要な場合や、売主の住所が登記簿謄本と住民票で差がある場合、権利証紛失に伴う費用など(2万円~)
・ローン完済に伴う完済金額
・測量費用
・建物解体費用
※測量費用・建物解体費用は、不動産契約の条件による