土地を売却する場合、分筆して売却する時があります。今回はそういった場合どういう流れで行われるか、また費用はどれだけかかるのかご説明致します。
【目次】
① 分筆のメリット
② 分筆のデメリット
④ 分筆の費用
⑤ 分筆でよくある疑問
① 分筆のメリット
分筆のメリットには、次のような点があります。
以下、それぞれについて説明します。
一筆の土地の中で所有者を分けて登記することはできないため、分筆をすることで、土地の一部の売却や、共有している土地を分割して単独所有することが可能になります。
例えば、土地の一部に家を建てて住宅ローンを組んだ場合には、土地にも抵当権が設定されることが多いですが、分筆していないと土地の全部に対して抵当権がかかってきます。
そのため、土地の一部について抵当権等を設定したい場合は、分筆する必要があります。
土地の登記には地目という項目があり、一筆の土地の中で、地目を分けることはできません。
地目とは「宅地」「山林」「原野」「田」「畑」など土地の用途による区分のことで、一筆の土地の中で地目が分かれることになった場合には、分筆して地目を変更しなければならないのです。
例えば、農地の一部に住宅を建築する場合は、住宅を建築する土地と農地のままの土地とに分筆し、その際に住宅を建築する土地の地目を宅地に変更します。
② 分筆のデメリット
分筆には次のようなデメリットがあります。
・建物を新築できなくなる場合がある
・固定資産税が逆に上がる場合がある
・使い勝手が悪くなる場合がある
・登記が分かれることにより手間が増える
分筆によって土地面積が狭くなることで、セットバックなどの建築の制限のために思うような建物を建てられなくなったり、増築ができなくなることがあります。そのため、売りたいと思っても買い手がなかなか付かないかもしれません。
また、相続のために分筆し、住宅がある土地とない土地と分けて遺産分割をした結果、土地のみを相続した方は減税の特例が受けられず、結果的には固定資産税が上がってしまうといったケースも考えられます。
土地の面積が0.01㎡未満になる分筆は、実務上行うことができないとされています。
また、市街化調整区域では、一筆の土地の最低面積が決まっている場合があります。その場合は、分筆後のそれぞれの土地の面積が最低敷地面積を超えなければ分筆をすることができません。
分筆は、通常、土地家屋調査士に依頼して行いますが、窓口はうえくぼ不動産事務所までご相談いただきますと適切な土地家屋調査士をご紹介致しますのでお任せ下さい。
・土地家屋調査士に依頼
・法務局・役所で調査(公図、地積測量図、登記事項証明書、確定測量図)
・現地予備調査
・境界確定測量
・分筆案の作成
・境界標の設置
・登記書類の作成
・登記申請
以上ですが、これは全て土地家屋調査士の指示の下行われますので、施主様は特に自発的に行う項目はありませんのでご安心ください。
分筆は自分でできる?
分筆を自分で行ってみたいという方もいるかもしれません。
しかし、確定測量や境界標の設置には高い精度が求められるので、土地家屋調査士や測量士以外の人が行うことは極めて難しいでしょう。
自分でできる可能性があるのは、分筆登記の手続です。地積測量図の作成までを専門家に依頼し、登記は自分で行うということは可能でしょう。
もっとも、費用の節約が目的であれば、まとめて依頼した場合と、登記を自分で手続した場合とで、費用はそれほど変わらないでしょう。
分筆にかかる期間
分筆にかかる期間は、境界線確定測量が済んでいるかどうかによって大きく異なります。
境界線確定測量が済んでいる場合は2週間~1か月くらいですが、済んでいない場合は1か月~4か月くらいかかります。
⑥ 分筆でよくある疑問
分筆後の権利証は分筆前のものと変わりません。そのため、分筆しても、いわゆる権利証と呼ばれる登記識別情報や登記済権利証は発行されませんので心得ておくと良いでしょう。
登記完了証が発行されますが、登記完了証は、権利証の代わりにはなりませんので注意しましょう。
分筆後の土地の所有権を移転する場合は、分筆前の登記識別情報や登記済権利証を使用します。なお、合筆の際には、登記識別情報または登記済権利証が発行されます。
分筆した場合の地番の付け方は?
地番とは、1筆の土地ごとに登記所が付ける番号のことです。市区町村が付ける住居表示とは異なります(同一の地域もあります。)。
分筆した場合の地番の付け方には決まりがあります。
分筆前の地番に支号(枝番)が付いているかどうかによって異なります。支号が付いていない場合は、支号を付けます。例えば、一丁目1番の土地を3つに分筆したと場合、一丁目1番1、一丁目1番2、一丁目1番3の3つに分かれます。
支号が付いている場合は、分筆後の1筆にはその支号を残し、ほかの土地には最終の支号の次の支号を付けます。
もしくは分筆前の地番が一丁目1番1で、別の所有者の土地に一丁目1番2~一丁目1番10が存在していたとします。一丁目1番1を3筆に分筆すると、それぞれの地番は、一丁目1番1、一丁目1番11、一丁目1番12の3筆になります。
分筆して地番が変わったからといって必ずしも住居表示(住所)を変更する必要はありません。
住居表示を変更する必要があるのは、分筆後の土地について登記をする必要があるときです。
所有者の住民票の住所と登記簿上の所有者の住所が異なる場合は、登記申請が受理されないからです。
所有権の移転や、抵当権の設定や抹消等、登記が必要になってから住居表示を変更すれば十分です。住所変更を行う場合は、市区町村の役所に異動届を提出します。