相続で農地を取得することがあります。自ら農業をしない場合、売却を検討することもあるでしょう。また、農業をしていた人も後継者がいないため将来に向けて売却したいと考える場合もあります。しかし、いざ農地を売却するとき、法律でさまざまな制限があります。そこで、売却を円滑に進めるための方法について知っておきましょう。
農地売却はハードルが高いです
広い畑や水田があるにもかかわらず、雑草が生い茂ったままの土地を見かけます。せっかく広い農地があるのに有効利用ができない理由が隠されています。
その理由のひとつとしては、農地を簡単に売却できないように農地法で保護されていることがあげられます。
日本の食料自給率は40%程度であり、国の面積がそれほど大きくないため農作物を生産する農地も限られています。国民の食料自給率を賄うための大切な農地は保護する必要があるとの考えがあります。
農地売買には、住宅用の土地の売買より、多くのルールや制限が設けられています。また、農地はさまざまな種類があるので売却するときに確認しておくことが大切です。農地の種類によっては購入する人も限られる可能性が高く、売却価格も抑えられてしまうこともあります。
さらに、手続きも少々複雑で時間がかかることも考えられますので、農地を売却するためにはいろいろなハードルがあると考えておくとよいでしょう。
スムーズな売却には地目変更が必須です
農地を別の地目に変更して売却する方法が最も具体的です。地目を変更するときにも、農地のまま売却するのと同じように農業委員会に許可を得なければなりません。
許可申請後は農業委員会で審査を行い、問題がなければ審査を通過します。その後、農業委員会から許可が下りて指令書が交付されます。しかし、農地が市街化調整区域の場合には許可申請が少し複雑になるので時間がかかります。
農地から別の地目に変更すると、農業従事者以外でも購入することが可能になるため広く募集をかけることができます。さらに、売却価格も農地のままで売却するよりも高めに設定できる可能性が高いです。
手続きには時間がかかるかもしれませんが、価格や売りやすさを考えると地目変更を検討する価値はあるでしょう。
農地以外の用途に変更するには!
農地以外の用途に土地を転用するには立地基準と一般基準と呼ばれる条件を満たす必要があります。
立地基準とは、農地の区分です。転用が許可される区分は限定されています。転用の可能性がある農地は第2種農地と第3種農地に該当する農地のみです。
第2種農地は周辺の他の土地が転用できない場合などに転用が許可されます。第3種農地の転用は原則許可されるでしょう。一方で、農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地と呼ばれる区分である農地の転用は原則許可されません。
一般基準とは農地を転用することで、適正な利用が見込めるかどうかを判断するためのルールです。一般基準は、農地として利用しない予定なのでとりあえず更地にしておきたいというような目的では認められない可能性が高いので注意が必要です。
農地売買で転用許可を申請するときは、農地の所有者と購入者双方が申請しなければなりません。また、売買にあたりさまざまな基準から売買が適切かどうかを判断されます。
たとえば
・土地を購入する人の資力や信用力があると認められること
・転用にあたり妨げになる権利を持つ者の同意が得られること
・周辺の農地に支障が生じないこと
・農業用排水施設の機能に支障を生ずるおそれのないこと
等があげられます。
さらに転用目的に供することが遅滞なく行われ、転用面積が適正であり土砂の流出や崩落などの災害を発生させるおそれがないことなどの基準を満たす必要があります。
農地転用許可制度とは
農地転用許可を得るためには、立地基準や一般基準を満たさなければなりません。転用許可を得て売却をするには手間や時間がかかります。
なぜ農地を売却するための手続きが大変で立地ごとに区分するかというと、優良な農地が住宅地や工場などの農業のほかの用途に転用されることを防ぐためです。また、農地のままで売買すると価格が低めであることから、投機目的で農地を取得する可能性も考えられます。
そのような目的での農地取得は容易に認められないようにしています。あくまでも、農地転用許可制度は農地法に基づき優良な農地を確保し維持するための制度です。
農地転用許可制度では、指定市町村は都道府県と同じ権限を持ちます。農地転用許可申請を行うときは、さまざまな書類が必要になるので準備が必要です。申請時に添付する書類は法人の場合、法人の登記事項証明書が必要です。また、申請する農地の登記事項証明書・地番を表示する図面も必要です。
農地の位置や近隣を含む図面、転用後に建設予定の施設や建物の設計書などの写しが必要になるでしょう。さらに、転用するために必要な工事を実施できる資力や信用を提示しなければなりません。たとえば、融資を利用する予定の場合は金融機関からの書類、銀行の残高証明などの提出を求められることがあります。
また、農地を耕作している賃借人がいる場合には耕作者の同意書が必要です。転用するにあたり、ほかの法令の許認可が必要な場合には認可を得たことを証明する書面が必要になります。
農地が土地改良区内にある場合、土地改良区からの意見書も必要です。転用する際には排水などの問題がないかどうか水の利権者の同意を得ている旨を証明する書面が必要になることもあるでしょう。
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