土地売却をするには?土地売却の流れやかかる費用についてご説明致します。
「使わない土地を売却したいけれど、売り方がよく分からない…」「親から相続した土地を売りたいが、古い家が建っている」このような悩みを抱えている人は多いでしょう。今回は、土地を売る流れや費用、注意点とコツについてご説明していきます。
【目次】
・売れない時の対処法
・まとめ
[ 1 ] 事前準備
事前準備として、「希望条件の整理」「相場の確認」「境界線の確認」を行います。まず、希望条件を整理しましょう。ローンの残債がある人は、どのくらいローンが残っているかを確認します。そのうえで、いつごろまでに売却したいか、また希望する売却金額についても考えておきましょう。
次に、土地の相場を調べます。相場を把握すれば、売却額を設定する際に役立ちます。土地の相場は、自分が設定した売却希望価格が妥当かどうか、また、売りやすい価格かどうかを見極めるための大切な材料です。
なお、相場を調べる際は、自分の土地と同じぐらいの広さで、周辺環境が似ている土地の相場を調べることをおすすめします。
次に、土地の境界線を調べます。自分の土地はどの範囲までかを明確にする必要があります。そのためには、隣接地との境界線が分かる「地積測量図・境界確認書」を確認することが必要です。
売却時には以下の書類が必要になります。
・身分証明書
・実印
・印鑑証明書
・住民票
・登記権利書、または登記識別情報通知
・固定資産税評価証明書、あるいは固定資産税納税通知書
[ 2 ] 査定
まずは「簡易査定」と呼ばれる、1~2日で結果が出る査定を行います。
次に、実際に土地を訪問してもらい、現地調査をしてもらいましょう。
実際にその土地に足を運び査定する「訪問査定」では、境界線やガス・水道の配管状況、周辺環境や日照に関して詳細に調査されます。一般的に、訪問調査の結果が分かるまで、1週間前後かかります。
査定価格が提示されたら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、売却を仲介してもらう不動産業者と結ぶ契約のことです。ちなみに媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
[ 3 ] 販売活動
不動産業者と媒介契約を結んだ後、売却価格を決定します。
不動産業者が「この価格であれば売却できる」と判断した査定価格を基本にして、売主は売り出し価格を設定することができます。
販売価格が決まったら、販売活動スタートです。不動産業者はチラシを配布したり、店頭やネット上の物件情報サイトに掲載したりして入居希望者を募り、見学の案内を行います。
売主は、土地の雑草を抜いたり、不要なものを撤去したりして、土地をきれいに見栄えよくしておくとよいでしょう。
[ 4 ] 売買契約
購入希望者との間で価格の折り合いが付いたら、売買契約を結びます。
売買契約の当日、不動産業者は買主に向けて重要事項や契約書の説明を行います。売主は内容に間違いがないか、事前に内容を確認しておきましょう。
契約の当日、買主と売主は契約書に記名、捺印します。それが済むと、買主から売主へ、手付金が支払われます。手付金には、買主か売主のどちらかに債務不履行があった場合の違約金のような役割があります。買主はこの手付金を放棄することで、売主は手付金を返還したうえで同額を支払うことで、契約を解除することができます。
[ 5 ] 決済・引渡し
残りの金額は、土地の引渡しの日に支払われます。そのときに、売主は必要書類を買主に渡すようにします。なお、買主が住宅ローンを利用する場合は、一般的に引渡しの決済は金融機関で行われます。金融機関で買主がローンの手続きを済ませた後、売主に金融機関からお金が支払われます。
[ 6 ] 確定申告
土地を売却したら、翌年には確定申告を行いましょう。土地を売って得た譲渡所得がある場合は、必ず確定申告をして納税します。また、確定申告を行うと、税の控除によって税金の軽減措置を受けられることもあるため、節税できる可能性があります。損失が出た場合でも、還付を受けられる場合もあります。
確定申告をする際は、解体費用や測量費、仲介手数料をはじめ、売却にかかった費用を経費として計上できるので、領収書は取っておくようにしましょう。
土地を売却するにあたっては一定の費用がかかり、売却後に課せられる税金もあります。ここからは土地売却に必要な費用と税金について見ていきましょう。
売却にかかる諸経費
・仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税、※売却価格が400万円以下の場合は別の計算式になります)
・売渡費用(司法書士)
・その他(解体費用、測量費用、転用費用)
なお、仲介手数料の上限は法令で定められており、「売却価格×3%+6万円+消費税」以上の手数料がかかることはありません。
売却にかかる税金
土地を売却する場合、売却時、そして売却後にかかる税金があります。
・印紙税(1万~6万円程度売買契約書に印紙を貼って納税※土地価格により異なる)
・譲渡所得税(売却益の20~40%程度土地の売却で利益が出た場合に支払う所得税と住民税)
印紙税は売却する際に必要な税金です。
売却後に発生する税金が譲渡所得税です。売却によって利益が出た場合は、税金を支払うことになるので、覚えておきましょう。
土地の売却といっても、売却したい土地がどんな状態かによって方法が異なります。ここでは、土地売却によくあるパターンとその特徴、そして注意点を解説します。
古い家が建っている状態で土地売却するケースです。一戸建ての住まいが築20年を超える土地の場合は一般的に「古家付き土地」と呼びます。
土地の売却には、古い家を解体し、更地で売却する方法が多く見られます。しかし、更地にするには、解体費が必要です。古家付き土地のまま売却すれば、売主は解体費用を負担する必要がありません。ちなみに、木造一戸建ての解体費用は100万円前後かかります。
また、古家付き土地の売却は、土地や建物にかかる固定資産税を抑えられるというメリットがあります。建物が建っている場合、減税措置が適応され、土地分の固定資産税が最大6分の1減税されるのです。古家付き土地の場合、更地に比べると売却に時間がかかることがありますが、減税措置が適応されるため、コストを抑えることにつながる可能性があります。
※注意点
古家付き土地の売却で買主が古い家を建て替えたい場合、買主が家を解体することになるため、買い手が付きにくいという面があります。また、なかには解体費用分の値引きを求められることもあるでしょう。
ほかにも売却が進まず、長期間、古い住まいを空き家にしておくと、管理費がかかったり、建物の倒壊や治安の悪化につながるので注意しましょう。
建物を取り壊し更地にして売るケースです。
更地の土地の場合は、相場価格で売却することができます。買主がすぐに家を建てられる状態なので、売却しやすいのです。そのため、売却期間は古家付き土地に比べて短くなるのが一般的です。また、更地であれば、売れるまでの間、駐車場として土地を運用し、固定資産税に充てることもできます。
※注意点
更地にするための解体費用は売主が負担することになります。解体した後、買主がすぐ決まらなければ、家が建っている状態よりも固定資産税が高くなります。また、建物がないため、買主はこれから家を建てる予定の人や、土地を住居以外で運用予定の人に限られます。
相続した土地を売る場合は、まず名義変更が必要です。不動産の売却は、不動産の所有者に限られます。所有者は、登記簿と呼ばれる「登記事項証明書」に記載されている人になります。
そのため、たとえ親から土地を相続しても、相続の登記を済ませ、所有者の名義を変更しない限り、土地を売却することはできません。
相続した不動産を売却したい場合は、まず相続登記を済ませておく必要があります。
相続手続きには、戸籍謄本、除籍謄本、住民票などが必要です。自分で手続きすることもできますが、時間や手間がかかるため、相続案件を扱う司法書士や土地家屋調査士に依頼するとよいでしょう。ちなみに土地家屋調査士とは、不動産の登記のなかでも特に地番や床面積といった表示に関する登記を調査して、正しい登記を代行する専門家のことをいいます。なお、登記の手続きを依頼した場合の手数料の目安は、10万~20万円前後です。
相続した土地を売却する際に利用できる「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」についても押さえておくとよいでしょう。これは、相続した財産を一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる制度で、税金を軽減することができます。特例を受けるための要件は以下の3点です。
・相続や遺贈により財産を取得した者であること
・その財産を取得した人に相続税が課税されていること
・その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
この特例を受けるためには確定申告が必要になるので、事前に必要な書類を確認しておきましょう。
土地を何名かで共有している場合は、まず「持分割合」を確認することが必要です。持分割合とは、土地の所有権の割合を意味します。持分割合は、法務局で取得できる土地の登記事項証明書に記載されています。法務局で手続きを行えば誰にでも取得することができるので、事前に確認しておきましょう。共有名義の土地の売却には、3つの方法があります。
持分の土地を売却する
自分が持っている土地の分だけを売却する方法です。ただし、分割された持分だけを買う人は少ないため、共有者同士の間で売買することが一般的です。
分筆して売却する
共有している土地を複数に「分筆」して売却する方法です。分筆とは、1つの土地を持分割合に応じて分けることをいいます。
分筆すると、単独の名義が複数できて、共有状態ではなくなるため、自分の持分の土地だけを売却することが可能になります。
共有者の同意を得て売却する
共有している土地を共有者全員の同意によって売却する方法です。全員が売却に関して同意している場合、共有者全員が売主になります。売却が決定し、実際に契約する際は、全員の同席と実印の押印が必要になります。売却した金額は、持分割合に応じて受け取ることができます。
土地総合情報システムせっかく土地を売るなら、きちんと納得できる価格で売りたいですよね。ここでは、高く売るためのコツや、スムーズに売却を進めるためにしておきたい事前準備についてお伝えします。
相場を把握しておく
できるだけ高く、そしてスムーズに売るためにも、自分の土地の相場価格を知っておくことは大切です。不動産業者に査定を依頼すれば相場は分かりますが、それが相場に見合った価格なのか判断するためにも、事前に自分で相場を調べておくとよいでしょう。万が一適正でない価格で査定されてしまっても、相場を把握できていればそれに気付くことができ、価格の理由を質問することができます。
相場を調べる方法はいくつかあるの全国地下マップで、複数の方法でより多くのデータを知っておくと安心です。以下に主な相場の調べ方をご紹介します。
周辺の物件の価格を調べる
土地の価格の相場を調べるには、住所が近い物件や、最寄り駅からの距離やアクセスなど条件が類似した物件の価格を参考にするという方法があります。不動産情報サイトから、周辺の物件や類似した物件がいくらで売りに出ているか調べてみましょう。
公的な地価情報を調べる
国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公示する標準地の価格である公示価格や、固定資産税や相続税、贈与税などの計算で基準となる路線価や固定資産税評価額といった、公的な情報も参考になるでしょう。
このような情報を集めるには、国土交通省の「土地総合情報システム」がおすすめです。ここで公示価格や都道府県地価調査などの公的な地価調査のデータを見ることができます。また、一般社団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」 では、路線価や固定資産税評価額も検索できます。
過去の取引データを調べる
実際に過去に成立した取引実績における価格の平均値である実勢価格も相場を知るうえで参考になります。「公示価格より少し安くてもよいから早く売りたい」「どうしても買いたくて高く買った」といった売主、買主の状況が反映された取引相場を知ることができます。こちらも、国土交通省の「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」で簡単に調べることができますよ。
土地をきれいに整える
不動産による査定や購入希望者の内覧の際には、できるだけよい印象を持ってもらえるよう、土地をきれいに手入れしておくとよいです。
更地や空き家は長い間手入れをしていない場合、雑草が生えたり、建物が老朽化したり、ゴミを捨てられたりする恐れがあります。不動産業者や購入希望者からの印象が悪くなってしまうと、相場で売り出しても買主が見つからなかったり、値下げ交渉をされてしまうことも考えられます。土地が遠方にあり管理が難しい場合は、業者に依頼してきれいにしてもらいましょう。
実際に不動産業者と媒介契約を結び、土地売却の活動をスタートしても、売却がうまく進まないこともあります。また、自分の土地は売れるのか不安を持っている人もいることでしょう。ここからは、土地売却に関するよくある疑問にお答えします。
土地が売れない場合の対処は?
「なかなか土地の買い手が現れない」という場合、周辺の相場より売り出し価格が高く設定されている可能性もあります。価格設定の見直しを行いましょう。
古家付きの土地の場合、家をリフォームする、という方法もあります。壊れた箇所を修繕し、家の状態をよくすることで、買い手が付く場合もあります。
また、売却したい土地が都心ではなく、自然豊かな地方や遠隔地などの場合、移住希望者が閲覧する「空き家バンク」への登録もおすすめです。空き家バンクへ登録すると、物件情報は自治体やNPO法人が運営するサイトにも登録されるため、広く情報を拡散することができます。
アクセスが悪い田舎の土地の場合、買い手が付かないことが多くあります。その場合は、土地を売却せずに土地活用の方法を考える、というのも方法の1つです。たとえば、太陽光発電を始めるのもよいでしょう。農地であれば市民に貸し出し、農業体験の場として利用するのも一案です。
また、建物を建てられるエリアなら「サービス付き高齢者住宅」を建てるという土地活用も考えられます。
ローン返済が残っている抵当権付きの土地の場合でも売却は可能です。しかし、返済ができなかった場合は金融機関に売却されてしまうため、買い手が付きにくいのが現状です。売却時に住宅ローンの残債がある状態で不動産を売却する場合には、残債を一括返済することが必要です。売却資金から返済できればよいですが、仮に残債より売却価格が小さいと自己資金を用意しなければならないこともあります。そのため、ローンを完済してから売却することをおすすめします。
また、古い家付きのまま売るか、更地にしてから売却するか、自分に合った売却方法がよく分からない場合は不動産業者に相談し、土地の査定をしてもらうとよいでしょう。よく検討してから、売却するようにしてくださいね。